任意整理は借金の返済負担を軽くするための手続きとして、多くのひとが利用しています。
しかし、これから引っ越しを予定している場合、「任意整理をすると賃貸契約の審査に通らないのでは」と不安になるひともいるでしょう。
今回は、任意整理が賃貸契約の審査にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、司法書士の視点から確認します。
任意整理とは
任意整理とは、借金の返済額や返済方法について債権者と交渉し、負担を軽くする手続きです。
裁判所を通さずに進められるため、自己破産や個人再生と比べて柔軟な対応が可能です。
多くの場合、将来利息をカットし、残った元金を分割で返済していきます。
任意整理を行うと、信用情報機関に手続きの記録が登録されます。
俗に「ブラックリスト入り」と呼ばれる状態で、5年から10年程度は新たなローンやクレジットカードの契約が難しくなります。
賃貸契約の審査とは
賃貸契約の審査は、大家や不動産会社が入居希望者の信用や支払い能力を確認するためのものです。
審査内容は物件や管理会社によって異なりますが、一般的には以下のような項目が確認されます。
- 安定した収入があるか
- 勤務先や勤続年数
- 過去の家賃支払い履歴
- 連帯保証人の有無や信用状況
場合によっては、信販系の保証会社を利用することが必須条件となる物件もあります。
保証会社の審査で信用情報が参照される場合、任意整理の記録が影響する可能性があります。
任意整理が賃貸審査に影響する場合
任意整理が直接賃貸契約の審査に影響するのは、主に保証会社を利用するケースです。
保証会社は家賃の滞納が発生した際に大家に立て替え払いをするため、利用者の信用情報を確認します。
信用情報機関に金融事故情報が登録されていると、保証会社の審査に通らない場合があります。
一方で、保証会社を使わない場合や、独自審査のみを行う大家や管理会社では、任意整理の有無がチェックされないこともあります。
ただし家賃の支払い能力や過去の滞納歴は重視されるため、任意整理をしたかどうかに関係なく、安定した収入がない場合は審査が厳しくなる傾向があります。
任意整理後に賃貸契約を結ぶための工夫
任意整理後でも、いくつかの工夫によって賃貸審査を通過できる可能性があります。
- 家賃が収入に対して低めの物件を選ぶ
- 保証会社を利用しない物件を探す
- 公営住宅の審査を受ける
- 不動産会社に直接交渉する
信用情報が回復すれば、保証会社の審査にも通りやすくなります。
可能であれば、記録が消えるタイミングまで待ってから賃貸契約を検討するのも1つの方法です。
まとめ
今回は、任意整理が賃貸契約の審査に与える影響について見ていきました。
任意整理は信用情報に記録されるため、信販系の保証会社を利用する場合には審査が厳しくなる可能性があります。
しかし、さまざまな工夫で、任意整理後でも契約が可能な場合があります。
不安がある場合は、司法書士など専門家に一度相談するのもおすすめです。






